ひとつ救われるものは

3日の夕刻、相棒からK氏(上司)の本部異動を知らされた。

前日はそんな気配もなかったのだから、わたしが帰った後にその連絡が入ったのだと思う。週末には引継ぎするら

しいという内容にまず困った事は間近に迫った衛生検査であり、仕事の隙間時間を使っての清掃はどうするのかと

いう事だった。予定されている衛生検査の日は出勤はわたしだけである。提出書類のチェックも手洗いの実演も検

査員からの質問もわたしが受けなければならないのは仕方ないとは思っていたが、大事なのはキッチンは清潔で

あるという現状を確認する事であり、その部分がK氏不在となっては難しくなる。

-新しい店長が来る-どんな人?-俺も知らないんだよ-エ~ッ??-

K氏は男性にしてはマメできれい好きな人だったので、その部分は今までお任せで良かったのだが、今度の店長

はこの事態を把握できる人なのだろうか。わたしが連休している間に引継ぎが終わり、当日のシフトとそれがどうい

う状態なのか理解してくれるだろうか。お世話になったK氏への御礼の品を考えたり、新卒社員の療養休暇、まだ

見ぬ店長は如何なる人物かなどなど頭を痛め、心縮まる昨今である。連日の慌しさもあり先行きの不安もありだが

ひとつ救われるのは暑さが落ち着き秋の気配になり、静めれば切り替える気になればそれも可能な季節になった

という事だ。

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ここで見つからなかったらネットだなと考えながら膝注射をした後、久しぶりにイトーヨーカードーに出向いた。勤める

ようになってからは着たきり雀というわけにはいかず、秋物でもという気持ちもあった。ついでに夕餉の買物も済ま

せれば良い。本を探して洋服も買っておかずも買ってと女の買物は大変である。

秋物の服は残念ながらお好みが見つからずだったが、第一目的の探し物は売り場を三周してやっと見つける事が

出来た。見逃すまいぞとしっかりメガネを掛けて行った甲斐があった。何せこの表紙(装画)を目指していたのだから

棚置きで見つけ出すまで時間が掛かってしまったわけである。それも平置きのすぐ後ろ、『向田邦子全集』と並んで

いたのだから不思議なご縁としか言い様がない。

肩にお買い得冷凍エビやらベーコンを提げ、それらよりも重い二冊の書籍をバッグに入れてバスに乗ったのだが、

少しも苦にならない。探し物を見つけた満足感と今までは違う風のせいだろうと思う。そして、職場の憂鬱はあって

も、プライベートは別物と区別して過ごすという切り替えがこの季節だからこそとも思う。

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何ヶ月か前、かつて暮した旅館を検索していて菊池英也さんのブログに出会った。

『月子。』に続いて『闇に眠る骨であるわたし』を購入した。このタイトル名と銅版画家の浅野勝美さんの挿画に強く

引き付けられた。書店でカバーをかけてくれたのだが帰宅するとすぐにカバーを外しじっくりと鑑賞する。神秘的であ

り表紙を開きページをめくらなくても作品の声が聞こえてきそうである。しばらくの間、ヤミニネムルホネデアルワタ

シと何度も繰り返してその美しい絵を眺めていた。

◆ ◆ ◆

まだニヤニヤするばかりで読み始めるまでには至りません。好きなものは最後に食べる的な心境でしょうか。

画像をクリックすると大きくなりますので、この美しく神秘的な絵をじっくりとご覧下さい。


この記事へのコメント

GURUM315
2009年09月08日 21:26
「月子。」に引き続き、今回の新刊もこのような記事にしていただき、感謝いたします。
向田邦子さんの本とは、本当に何か、kazagurumaさんを通した不思議な縁を感じさせられますね。光栄の一言です。
今回の記事に中でも、心に染みるお言葉をいくつも頂戴し、うれしいかぎりです。
拙い小説ではありますが、いずれ感想など聞かせていただけると励みになります。
余談になりますが、大原・勝浦あたりを舞台にした長編も現在手掛けております。何年先になるかまだわかりませんが、形になった暁には、ぜひ読んでいただきたいと思っております。
どうか今後とも応援のほど、よろしくお願いします。
rei
2009年09月09日 22:13
GURUM315さんへ
コメントありがとうございます♪
昨夜から読み始めて、もう中盤まで読み進んでしまいました(笑)
楽しみは長く・・処ではなくなりそうです。
心地良い音楽を聴くように自然と文章の中に入っていく感じ。
第一に感じた事は「読みやすい」という事ですね。これは大事な事で活字も大きく私にはとても有り難いものでした。
これからもお邪魔させて頂きますので、こちらこそ宜しくお願い致します。
季節の変わり目くれぐれもご自愛下さいますように。